症例報告:北島 充貴(鍼灸師)2020.2
jitsurei 38歳・女性・第1子不妊 鍼灸三焦調整をしながら体外受精で妊娠出来た


>>不妊治療状況と来店動機

体外受精で11個採卵できたが、5回移植したが着床できなかった。
着床前診断では問題はない。ERA検査・EMA検査・ALICE検査では問題なし。
プレマリン、バイアスピリン、ユベラを服用。
子宮腺筋症、チョコレート膿腫あり(右6㎝、左4センチ)。卵管の両側に詰まりがある。
手術が必要な状態だが、卵巣の質が下がるため行わない。
甲状腺機能低下症(橋本病)でチラージン服用。

体外受精の着床率を上げるために誠心堂の漢方相談にプラスして三焦調整法をはじめた。

生理状況

生理周期30日。生理痛は重い。塊あり。PMS症状は浮腫み、だるさあり。

パートナーの状況(男性不妊)漢方・鍼灸の有無

男性不妊なし。


>>婦人科以外の随伴症状・病歴

疲れやすい、冷え症、イライラする、ハウスダストのアレルギー、頭痛、首肩こり、皮膚の乾燥、低血圧、口が渇く、四肢のほてり、軟便、眼精疲労。

生活歴

仕事は忙しく残業もある。


>>中医弁証と鍼灸三焦調整法所見

・脈診 関浮、尺虚脈
・舌診 舌淡紅痩、苔薄白
・腹診 上腹と小腹が硬い
・弁証:脾腎両虚、肝気鬱結
・治療原則:益脾補腎、疎肝理気
上焦は興奮と疲労がある。
中焦と下焦にある臓器の脾と腎が虚している。同時に中焦の肝が虚と実の状態で詰まり生じている。結果、子宮に栄養のある血液が行きづらくなっていると考えられる。
子宮内膜症、子宮腺筋症があり下焦の瘀血ができやすいと考えられる。

上焦所見と経過

・頭部は熱をもっており、頸の胸鎖乳突筋は硬い。筋肉が細く首肩こりも強い。イライラ、首肩こり、噛みしめもあるので頭部への血流も悪くストレス型の首こりが出ている。脳の下垂体の働きが乱れ、女性ホルモン(FSH、LH)の分泌も悪いと考えられる。
・鍼灸三焦調整をすることでリラックスでき、首肩こりは減少し、胸鎖乳突筋の緩みが出た。

中焦所見と経過

・腹診をすると上腹部と臍の下の小腹が硬い。腹部は細く全体的に力がない。ストレスなどにより自律神経が乱れ腹部への血流が悪くなり硬くなっている。
・背部は全体的に硬く、背部兪穴は肝兪、膈兪に硬結がある。背中はストレス不安等で交感神経の影響をうけ硬くなったと考えられる。
・鍼灸三焦調整することで、腹部が柔らかくなってきた。イライラは減少した。

下焦所見と経過

・腹診をすると少腹が硬く下腹に力がない。
・足は冷えて、ふくらはぎに力がない。腰痛もあり。腰部は虚して力がなく冷えている。第2の心臓であるふくらはぎの力もなく、静脈血を心臓まで十分に戻し切れていないと考える。冷えも血が足の抹消まで届いていない。下腹が硬く腰は力がなく冷えていて腎が弱っていると考えられる。
・鍼灸三焦調整をすることで足の冷えが減少した。

鍼灸三焦調整法の治療方針

・下焦にある子宮にホルモンや栄養のある血液を安定的に送る必要がある。頭や首に鍼をして耳にお灸をすることで、脳への血流も良くしてリラックス効果を高め、下垂体から女性ホルモンの分泌も良くしていく。
・腹部と背部に鍼とお灸をし、自律神経のバランスを整え血流も良くする。腹部の血流が良くなり子宮への流れも良くなる。また気血を生成するために脾の働きを高める。腹部の下側に子宮のツボがある為、鍼やお灸で刺激をし血流を良くする。
・仙骨に鍼とお灸、パルスをして陰部神経と骨盤内臓神経を刺激し子宮動脈や卵巣動脈の血流を良くする。
・足のツボとふくらはぎに鍼とお灸をすることで温かい血液が足先の抹消まで届き、静脈血を心臓まで戻りやすくし全身循環を促す。
・上中下の三焦の臓の働きを高め、全身の流れを良くし、着床しやすい状態にする。
・特にリラックスできるように施術をする。


>>結果・総論

通院ペース:体外受精時に合わせる
通院期間:2カ月半
・鍼灸三焦調整法を体外受精時に合わせておこない妊娠、心拍を確認した。体外受精後は着床維持のために週1回のペースで来院した。
・鍼灸三焦調整法をすることで自律神経のバランスも整い、子宮や卵巣までホルモンや栄養ある血液がスムーズにいくようになり、子宮内膜の質を改善し、着床妊娠したと考えられる。特にストレスを溜めやすかったため、リラックスできたことも大きい。

>>漢方服用の有無

誠心堂薬局にて漢方煎じ薬服用。