子宮筋腫

子宮筋腫は、成人女性の4~5人に1人はできると言われており、婦人科の腫瘍の中では最も多い病気です。ほとんどが良性腫瘍であるため心配はありませんが、子宮筋腫による不快な症状や、妊娠を考えている女性にとっては不妊の原因になることがあります。



 《子宮筋腫 自己チェック》

※3個以上あれば注意
□ ひどい生理痛がある
□ 生理のときに飲む鎮痛剤の量がだんだん増えてきている
□ 生理の量がかなり多い(夜用ナプキンが2~3時間ももたない)
□ 不正出血がある
□ 生理中大きいレバー状の塊がでる
□ 下腹部にしこりがある
□ 下腹部痛、腰痛、頻尿、便秘がある
□ 排便する時にお尻の奥に痛みを感じる
□ 性交の時の痛みが強い

子宮筋腫とは?

子宮筋腫とは、子宮にできる良性腫瘍のことで、子宮の壁に「こぶ」のようなものができている状態です。子宮筋腫は、子宮のどこに発生したかによって分類されます。

子宮の内側にできる「粘膜下筋腫」(ねんまくかきんしゅ)
子宮の外側にできる「漿膜化筋腫」(しょうまくかきんしゅ)
子宮の筋肉にできる「筋層内筋腫」(きんそうないきんしゅ)

筋腫が大きくなるにつれて、生理量の増加・生理周期の乱れ・生理痛・不正出血・貧血などの症状や、周囲臓器を圧迫することで頻尿・排便痛・便秘・腰痛などの症状も出てきます。
また、筋腫ができた場所によって症状の出方や強さが変わります。子宮の内側にできると、小さい筋腫でも症状が強い傾向にあります。個人差はありますが、いずれにしても不妊や流産などの原因にもなることから早めに対処することが大切です。
筋腫ができてしまう原因ははっきりしていませんが、女性ホルモンのエストロゲンと関係があるため、生理があるうちは筋腫が大きくなることがあり、逆に閉経すると自然と小さくなっていきます。稀に閉経後も筋腫が成長し続けることがあるため、定期的に健診を受けるようにしましょう。



子宮筋腫の検査と治療


 子宮筋腫の検査
検査は外診と内診、超音波検査を行います。必要に応じてMRI、子宮鏡検査、血液検査なども行われます。



 子宮筋腫の治療法
治療は無症状の場合、こぶし大以下の大きさであれば経過観察です。しかし、サイズの大きいもの、日常生活に支障をきたす症状を伴うものは治療が必要となります。

手術療法
筋腫の部分だけを摘出する筋腫核出術、子宮を全て摘出する子宮全摘術、子宮内腔に突き出た粘膜下筋腫を切除する子宮鏡下手術などがあります。
薬物療法
女性ホルモンの産生を抑える薬を使用して生理を止め、無月経の状態にして筋腫を小さくさせます。そこから手術で摘出するか、閉経が近い女性はそのまま筋腫を小さくし、閉経を待って症状がでないようにしていきます。エストロゲン量が減ることで内膜症の進行が抑えられますが、閉経と似た状態になるため、更年期と同じような症状が出ることがあります。
その他の治療法としては、子宮への動脈の血管につめものをしてしまう子宮動脈塞栓術などもあります。

日本産科婦人科学会
http://www.jsog.or.jp/modules/diseases/index.php?content_id=8(日本産科婦人科学会のHPに移動します)
日本婦人科腫瘍学会
https://jsgo.or.jp/public/kinshu.html(日本婦人科腫瘍学会のHPに移動します)



中医学で考える子宮筋腫

中医学において、子宮筋腫は「瘀血(おけつ)」という血の滞りにより引き起こされます。人体には「気」「血」「津液(しんえき)」という身体を栄養してくれる基本物質が流れており、その流れが何らかの理由で悪くなると不調を感じていきます。流れが悪くなった状態をそれぞれ「気滞(きたい)」「瘀血」「痰湿(たんしつ)」と呼び、子宮内の血流不良を引き起こし、筋腫として溜まっていきます。イメージするなら、ため池のヘドロのようなものです。



子宮筋腫の鍼灸治療

鍼灸治療では、血行循環が悪くなったことにより生じる「瘀血」を取り除きます。下腹部や腰周りに直接鍼やお灸で刺激したり、ツボを介して血流を良くする事で子宮筋腫へ効果的にアプローチすることができます。また、子宮筋腫には強い活血法(血流を良くする治療法)が必要な時もあるので、低周波治療器(電気パルス)や吸玉(カッピング)も併用することがあります。生理前後や生理中に不調がある場合は、特に血の巡りが滞りがちであるため、積極的な鍼灸治療がおすすめです。
下腹部や腰周り以外にも、頭や首、足に鍼灸をしていきます。頭や首では、脳下垂体からのホルモンの分泌を促し、子宮や卵巣に関係するホルモンの調整を行います。交感神経と副交感神経のバランスも整えられるため、リラックスすることができ、痛みの緩和につながります。足は第2の心臓ですから、ふくらはぎや足を刺激することで静脈血の心臓への戻りを促し、全身の血流に影響を与えることができます。
鍼灸の効果で、痛みの軽減や生理による出血をスムーズにさせ、子宮内に前の周期の血液を残さないようキレイな状態にしていくことができます。妊活をする場合も鍼灸治療はとても有効で、子宮や卵巣につながる経絡・神経・血管を刺激して働きを促すことができます。

子宮筋腫で使う代表的なツボ: 三陰交(さんいんこう)関元(かんげん)腎兪(じんゆ)、次髎(じりょう)など。



タイプ別鍼灸治療

子宮筋腫が大きくなるのを抑えたり、様々な症状を緩和して、子宮筋腫ができやすい体質を改善していきます。

瘀血(おけつ)
ホルモンバランスの乱れや冷え、過労などにより血行不良になるタイプ。
通常、血(けつ)は栄養に富んだ赤い液体ですが、滞って瘀血になると老廃物が溜まりやすくなり筋腫の原因となります。
随伴症状:生理痛、経血に塊が混じる、顔のくすみ、シミが多い、身体のこり、舌の色が暗く紫色、舌の裏の血管が怒張している など。
おすすめのツボ:膈兪(かくゆ)、三陰交(さんいんこう)など。

気滞(きたい)
ストレスや精神的緊張などで気(エネルギー)の巡りが滞り、血行不良になるタイプ。
気は血管の中で血(けつ)を推し進め、スムーズに巡行させる働きをしています。気の巡りが悪くなると、子宮における血行不良となります。
随伴症状:月経前症候群(PMS)、いつも体に力が入っている、呼吸が浅い、のどの閉塞感、胸や脇の張りや痛み、舌の両端が赤く青い瘀点がある など。
おすすめのツボ:内関(ないかん)太衝(たいしょう)など。

痰湿(たんしつ)
胃腸の不調などにより体内の水分代謝が停滞し、血行不良になるタイプ。
通常、津液(しんえき)は体内の正常な水分であり血とともに栄養成分を身体全体に運びますが、滞って痰湿になると停滞し、老廃物が溜まり筋腫の原因となります。
随伴症状:おりものが多い、身体がだるい、むくみ、ポリープができやすい、舌の上の苔が厚くべったりついている など。
おすすめのツボ:水道(すいどう)、陰陵泉(いんりょうせん)など。



 暮らしのアドバイス

血行を良くすることが大切です。
身体を冷やさないようにしましょう
ストレスを溜めないようにしましょう
まずはしっかり休息をとり、感動する映画などを観て涙を流してみてください。睡眠や涙を流すことは副交感神経を活発にし、リラックスできるようになります。
栄養のある食事を心がけましょう
バランスのいい食事は身体に必要な気血津液を蓄えさせ、血液の流れを良くします。
冷たい飲食は避けましょう
冷たいものは身体を冷やし、胃腸に負担をかけるため、老廃物である痰湿が生まれる原因に繋がります。

子宮筋腫があり経過観察で過ごしている方、手術を受けた方、これから妊活を考えている方、どんな方も体質を整えて筋腫ができにくい身体作りをすることが大切です。ご自分の身体の不調をチェックして、早めに改善するようにしましょう。