子宮内膜症

子宮内膜症は、初潮の低年齢化・出産回数の減少などにより増加傾向であり、今や10人に1人が発症していると言われるほど身近な病気です。



 《子宮内膜症 自己チェック》

※3個以上あれば注意
□ひどい生理痛がある
□生理のときに飲む鎮痛剤の量がだんだん増えてきている
□生理の量がかなり多い(夜用ナプキンが2~3時間ももたない)
□生理中大きいレバー状の塊がでる
□下腹部にしこりがある
□生理中に吐き気や嘔吐をすることがある
□排卵痛がある
□生理以外のときも下腹部の痛みがある
□排便する時にお尻の奥に痛みを感じる
□性交の時の痛みが強い

子宮内膜症とは?

子宮内膜症は、子宮内膜と類似した組織が子宮の内膜以外にできてしまう病気です。主に卵巣(チョコレート嚢腫)・ダグラス窩・腹腔などに生じやすく、他にも子宮筋層内にできることがあります。 子宮内膜症患者のうち、生理痛は88%もの人に見られ、生理の時以外の下腹部痛72%、腰痛57%、性交痛57%、排便痛39%と疼痛症状が高頻度です。
妊娠を希望する女性では、子宮内膜症は不妊の原因になります。 子宮内膜症の癒着のために、卵巣と卵管の動きが低下して不妊になるというのは明らかですが、子宮内膜症の病変が様々なサイトカイン(人体における生理的化学物質)を分泌し、卵子・精子・受精卵へ影響して不妊症の発生に関係している可能性が指摘されています。

子宮内膜症の種類と治療法



子宮内膜症の種類
腹膜子宮内膜症(腹膜病変)
腹膜や臓器の表面に発生する最も基本的な子宮内膜症で、超音波検査やMRIなどの画像診断が困難です。

卵巣チョコレート嚢胞
卵巣の中に発生する子宮内膜症で、生理のサイクルとともに血液が溜まっていくものです。血液の塊がチョコレートのように見えるため、チョコレート嚢胞と言われています。本来うずら卵くらいの大きさの卵巣が、5~6センチまで大きくなることがあり、他の部位にできる子宮内膜症より痛みが強いと言われています。現在最も多く治療されている子宮内膜症です。

子宮腺筋症
子宮の筋層内に発生し、進行すると筋層が厚くなり子宮がだんだん大きくなります。子宮が変形するため、不妊や流産の原因になることも。強い生理痛や生理量が多くなる場合があり、結果として貧血になっていることがあります。

 子宮内膜症の治療法
手術療法
卵巣を残す保存療法では、腹腔鏡や開腹で病巣だけを切除したり焼きます。保存療法は再発の可能性があるため、術後も薬物療法の検討が必要です。チョコレート嚢胞は40歳以降に悪性化(卵巣がん)することがあるので注意が必要です。
根治(完全に治す)としては、卵巣を摘出することで閉経状態にします。再発の可能性はありませんが、女性ホルモンが極端に減るため、更年期症状や脂質異常症(高脂血症)、骨粗鬆症などのケアが必要になります。

薬物療法
鎮痛剤
子宮内膜症の根本的な治療ではなく、痛みに対する対症療法になります。
ロキソニン、ボルタレン、バファリン、イウ゛など。
ホルモン療法:GnRH(ゴナドトロピン放出物質)アゴニスト
一時的に卵巣からのホルモンは増えますが、その後下垂体機能が制御されホルモンの分泌量が減ります。エストロゲン量が減ることで内膜症の進行が抑えられますが、閉経と似た状態になるため、更年期と同じような症状が出ることがあります。
リュープリン、スプレキュアなど。
低用量ピル
エストロゲンとプロゲステロンという女性ホルモンを合成して作られたホルモン剤で、妊娠しているのと同じホルモンの状態にすることで内膜症の成長を止めたり小さくすることができます。服用中は排卵が起こらないため、妊娠を望んでいる女性は使用できません。
アンジュ、トリキュラー、ルナベル、ヤーズなど。

不妊医療の中で行われる積極的な不妊治療、特に注射タイプの排卵誘発剤は、子宮内膜症を悪化させる可能性があります。また、手術は開腹でも腹腔鏡でも、卵巣の機能低下や新たな癒着による問題を作る可能性があります。不妊状態と子宮内膜症を両方抱えている人は、慎重に医療を選択する必要があります。

中医学で考える子宮内膜症

中医学において、子宮内膜症は「瘀血(おけつ)」という血の滞りにより引き起こされます。そのため、停滞した血の巡りを良くすることが基本治療です。瘀血を招くストレス、冷え、貧血、虚弱体質などの体質も一緒に改善していく必要があります。



子宮内膜症の鍼灸治療

鍼灸治療では、血行循環が悪くなったことにより生じる「瘀血」を取り除きます。お腹や腰などに鍼やお灸をすることにより、血流を良くして温め、冷えなどを改善したり、気の巡りを良くしてホルモンバランスを整え、症状を軽減させていきます。生理前や生理中は瘀血が溜まりやすいので、ぜひ鍼灸治療を受けてほしい時期です。

頭や首の後ろにも鍼をして、ホルモン分泌の調整を行います。 また、首・背中・骨盤のツボを刺激することで交感神経と副交感神経のバランスを整えられるため、リラックスすることができ、痛みの緩和につながります。
足もふくらはぎや脛の内側に鍼やお灸をします。第2の心臓であるふくらはぎや足を刺激することで静脈血の心臓への戻りを促し、全身の血流に影響を与えます。子宮内膜症には強い活血法(血流を良くする治療法)が必要な時もあるので、低周波治療器(電気パルス)や吸玉(カッピング)も併用することがあります。妊活をする場合も鍼灸治療はとても有効で、子宮や卵巣につながる経絡・神経・血管を刺激して働きを促すことができます。

子宮内膜症で使う代表的なツボ: 三陰交(さんいんこう)、関元(かんげん)、腎兪(じんゆ)、次髎(じりょう)など。



タイプ別鍼灸治療

気滞(きたい)
ストレスや精神的緊張などで、気の流れが滞り血行不良になるタイプ。
気の巡りと深く関わる五臓の1つが「肝(かん)」です。肝は生理周期を調節する働きがあり、ストレスを受けて肝の機能が低下すると、気の巡りが停滞し、結果として瘀血が生じやすくなります。月経前症候群(PMS)や生理の際にお腹が張りやすいなどの症状があります。
おすすめのツボ:太衝(たいしょう)、内関(ないかん)など。

寒邪(かんじゃ)
夏のクーラーや冬の寒さなど外界から体内に冷えが侵入したり、もともと冷え症で血行不良になるタイプ。
クーラーや寒さ、冷たい飲食などにより身体が冷えると、血の流れが停滞して瘀血を招きます。生理痛が強い、生理の血に黒い塊がある、生理の色が暗い、温めると緩和するなどの症状があります。
おすすめのツボ:関元(かんげん)、太谿(たいけい)など。

気血不足(きけつぶそく)
慢性疲労や貧血などにより、身体の気(エネルギー)や血(けつ)が不足して血行不良になるタイプ。
身体に必要な栄養物質である気や血が消耗すると、血を押し流す力が弱くなり血流が滞りがちになります。また、血管内に十分な血がない為、血流をスムーズに保てなくなり瘀血を招きます。生理の色が少ない、生理の色が薄い、生理痛は生理後半にしくしく痛むなどの症状があります。
おすすめのツボ: 足三里(あしさんり)、合谷(ごうこく)など。

湿熱(しつねつ)
元々暑がりだったり、脂っこいものや味の濃いものを食べすぎて身体に余分な熱がこもり血行不良になるタイプ。
身体に熱がこもると潤いがなくなりドロドロ血となり、血の流れが停滞して瘀血になりやすくなります。生理の周期が短い、生理の色が赤く量が多い、陰部の灼熱感、おりものは粘りがあり黄色いなどの症状があります。
おすすめのツボ:曲池(きょくち)、陰陵泉(いんりょうせん)など。

肝腎虚損(かんじんきょそん)
虚弱体質や加齢などにより、女性ホルモンの働きが低下して血行不良になるタイプ。
女性ホルモンの分泌が弱くなり卵巣や子宮の働きが落ちると、血の流れが停滞して瘀血を招きます。生理の量が少ない、生理周期が短すぎたり長すぎたりする、足腰のだるさなどの症状があります。
おすすめのツボ:腎兪(じんゆ)、肝兪(かんゆ)など。

子宮環境・ホルモンバランス・体質に合わせた爽快館の鍼灸治療は症状の緩和や回復の早期化を実現します。腹腔動脈の血流が促進され、血流が増え、傷ついた組織が修復しやすくなるのです。症状によってはホルモン療法や手術も必要になるので、医師の診察をうけ、西洋医学と中医学で体質や症状に合った適切な対処をしましょう。

日本子宮内膜症協会
https://www.jemanet.org/index.php(日本子宮内膜症協会のHPに移動します)



 暮らしのアドバイス

ストレスはこまめに発散して、特に生理前はイライラしない工夫をしましょう
温かい飲食・服装を心がけ、身体を冷やさないようにしましょう
生理の時はお腹・腰回り・足をしっかり温めましょう
生理中は激しい運動を避け温かい食事をとりましょう
毎日の入浴を習慣にして、冷えや血行不良を改善し心も体もリフレッシュしましょう

 ◆三陰交(saninkou)

内くるぶしから骨際に指4本分上のくぼみが三陰交です。とても万能なツボで、女性に特におすすめのツボです。
冷えが気になる方にも効果的です!

 ◆関元(kangen)

別名丹田ともいい、生命活動の源ともいわれています。腹式呼吸でも意識する部分ですね。体力の回復や冷え性・便秘にも効果的です。
臍(ヘソ)の上に親指以外の4本を添えて、垂直に下りた所にあります。仰向けで中指を重ねてやさしく押しましょう。5~10秒ゆっくり押して離すを5セットやると効果的です。

 ◆腎兪(jin-yu)

ウエストのくびれた部分に両手を持っていき、親指が筋肉の盛り上がりに触れたところです。背骨からは指2本分離れた場所でホルモンやエイジングケアで有名なツボです。

 ◆陰陵泉(inryousen)

膝を曲げた状態で、足の内くるぶしから真上に辿っていくと指が止まるところです。

 ◆内関(naikan)

手首にあるツボで、親指を入れて他の指で握り(グーの形)手前に倒すと腱が2本浮き出てきます。 そのライン上で手首から指3本分のところにあります。 親指をツボにあてて他の4本で手首を掴み振ると効果的です。

 ◆太衝(taishou)

足の親指と人差し指の骨の間を足の甲へ上がっていった行き止まりが太衝です。
気の巡りを良くし、ストレス緩和によく使うツボです。頭痛の治療にもよく使います。

 ◆足三里(ashisanri)

膝を立てて、膝のお皿の下の部分にくぼみが2つあります。そのくぼみから指4本分下が足三里です。
足にあるツボですが長寿のツボ・万病に効くツボとして知られていて、胃腸の調子を整えるのにも効果的です!

 ◆合谷(goukoku)

頭痛や肩こり・風邪・風邪・花粉症など様々な症状に効果があるといわれています。
手の親指と人差し指の間にあり、やや人差し指寄りです。 親指で5~10秒ゆっくり押して離すを5セット行いましょう。リラックスしている時に行うとより効果的です☆