卵巣機能低下症

卵巣機能の低下は、通常加齢によって起こりますが、近年ではホルモンバランスの乱れにより、卵巣機能低下の低年齢化が進んでいます。妊娠を考えている女性にとっては不妊の原因となるため、早期の検査や治療が必要になります。



卵巣機能低下症とは?

卵巣機能が早期に低下するもので、「早期卵巣不全(POF)」とも呼ばれています。特に、43歳未満で閉経することを「早期閉経」、40歳未満で閉経することを「早発卵巣不全(POI)」などと呼び、卵巣機能の老化が早くなっている状態です。生理周期が乱れてなかなか排卵できず、生理不順になったり無月経になります。女性ホルモン(エストロゲン)が減るため更年期症状が出ることも多く、のぼせ・ほてり・めまい・冷え・頭痛・不眠やイライラなどの精神不安、骨粗鬆症などが起こりやすくなります。





通常、毎月の生理は脳からの性腺刺激ホルモンが卵巣を刺激し、卵胞を育て、卵胞が成熟すると卵子を排卵します。卵巣機能が低下すると、卵巣の中の卵胞が育ちにくい状況となっており、排卵しづらくなったり、子宮内膜が薄い状態になります。基礎体温においては、なかなか排卵できないため、一相性で低温期が長くなりやすい傾向となり、排卵したとしても高温期の温度を持続して保てない・日数が短いなどの症状が段階を経て現れます。 卵巣の機能が低下しているというのは、卵巣レベルだけの問題ではなく、脳の視床下部や脳下垂体の問題でもあり、性腺刺激ホルモンの分泌低下も関係してきます。



卵巣機能低下症の原因

先天的に染色体異常があったり、膠原病や甲状腺疾患など自己免疫疾患をもつ人に多いことは知られていますが、ほとんどの場合原因は不明とされています。卵巣の手術や卵巣ガン、ガンに対する治療(放射線療法や化学療法)などによっても卵巣の機能低下が生じます。また、嗜好品や生活習慣との関連性が高いとされており、行動習慣の見直しも必要です。病気によって無月経になっている場合は、病気を治療すると卵巣機能の回復を期待することができます。

 《卵巣機能低下症と関連する習慣など》

☑ 過度の飲酒
☑ 喫煙
☑ 過度のダイエット
☑ 激しい運動
☑ 太りすぎ・痩せすぎ
☑ 精神的・肉体的ストレス  など



卵巣機能低下症の検査と治療

 卵巣機能低下症の検査
超音波検査
血液検査 など


 卵巣機能低下症の治療法
一時的に卵巣機能が低下しているだけであれば、必要な治療や生活習慣の見直しなどにより正常な機能を取り戻すことができます。

・妊娠を望まない場合
ホルモン補充療法
不足している女性ホルモンを補って生理を定期的に来させたり、更年期症状などを抑えます。また、骨粗鬆症治療薬を併用することがあります。

・妊娠を望む場合
ゴナドトロピン療法
強力な排卵誘発法で卵巣を刺激して、卵胞を育てます。
カウフマン療法
不足している女性ホルモンを補充して規則的な生理周期を起こさせ、卵巣機能不全の状態を改善します。



早発閉経の不妊治療を行っている病院

ローズレディースクリニック
https://roseladiesclinic.jp/(ローズレディースクリニックのHPに移動します)
聖マリアンナ医科大学病院 生殖医療センター
http://www.marianna-u.ac.jp/hospital/reproduction/index.html(聖マリアンナ医科大学病院 生殖医療センターのHPに移動します)



中医学で考える卵巣機能低下症

中医学では、女性は7の倍数で体が変化すると考えられており、7×2(=14歳)で初潮の時期を迎え、7×3(=21歳)で女性らしさが増し、7×4(=28歳)で成熟を迎え、そして7×5(=35歳)以降になると老化が徐々に始まり、中医学で言う「腎精(じんせい)」の衰えが始まります。中医学における「腎」とは、主に泌尿器系と生殖器系を司り、これが衰えたり弱ったりすると、夜間尿や頻尿、生理の問題や不妊、足腰や脳の衰えなど、老化症状が出てくることになります。ホルモンの分泌は40歳代になると徐々に減り、やがて閉経を迎えます。
通常は年齢を重ねるほど、生殖能力は衰えていくものですが、卵巣機能が低下すると、年齢に関係なく脳下垂体―卵巣系の反応が鈍くなる傾向にあります。年齢不相応に生殖能力が衰えると、個人差はありますが、更年期の症状が早く訪れる傾向があり、骨密度・骨粗鬆症の症状にも注意が必要です。
卵巣機能低下症はそのほとんどが原因不明とされていますが、日頃の睡眠不足や喫煙習慣、ストレス、胃腸虚弱の状態が腎の衰え(=生殖能力の衰え)を増長している可能性もあります。身体の生命力を支える物質を作るというところまで余裕がないかもしれません。



卵巣機能低下症の鍼灸治療

生殖を司る「腎精(じんせい)」の働きを高める補腎(ほじん)法と、血行循環をよくする活血(かっけつ)法を組み合わせて、身体の不調な症状を改善していきます。同時に、胃腸虚弱・ストレスが多い・食生活の乱れ・肥満・痩せすぎなどがある人には、体質や症状に合わせた治療を行います。 妊娠を希望する人には、三焦調整法(さんしょうちょうせいほう)を使い妊娠しやすい体作りをサポートします。頭や首に鍼をしたり、耳にお灸をすることで、脳下垂体からの女性ホルモンの分泌を促進し、リラックス効果をもたらし、全身の血流状態を良くしていきます。また、下腹部と骨盤に鍼やお灸をすることで、卵巣動脈を刺激して骨盤内に栄養と酸素を集めます。

補腎法で使う代表的なツボ: 関元(かんげん)、子宮(しきゅう)、次髎(じりょう)腎兪(じんゆ)など。



タイプ別鍼灸治療

気血両虚(きけつりょうきょ)
卵子が育つのに必要な血(けつ)が不足したり、血を運ぶ気(エネルギー)の力が落ちているタイプ。
卵巣にいる卵子に十分な栄養が行き届くまでに時間がかかるため、低温期は長くなりやすい、胃腸虚弱、疲れやすい、貧血気味、不眠、多夢などの症状がある。
おすすめのツボ:足三里(あしさんり)、気海(きかい)、合谷(ごうこく)など。

陰血不足(いんけつぶそく)
卵子が育つのに必要な陰血(体液や血)が不足して、卵巣に栄養が行き届かないタイプ。
加齢や胃腸虚弱、ストレス、寝不足などにより起きやすく、低温期は長くなりやすい、低温期の温度がやや高めの傾向がある、排卵期のおりものが少ない、乾燥感が強くのぼせなどの症状がある。
おすすめのツボ:復溜(ふくりゅう)、三陰交(さんいんこう)など。

肝鬱気滞(かんうつきたい)
卵子が育つのに必要な気・血・津液・精などの栄養物質の巡りが停滞して、卵巣に栄養が行き届かないタイプ。
ストレスなどにより起きやすく、生理周期が不安定でギザギザしやすい、月経前症候群(PMS)などの症状がある。
おすすめのツボ:合谷(ごうこく)、太衝(たいしょう)、内関(ないかん)など。

※胃腸の不調の場合:足三里(あしさんり)・陰陵泉(いんりょうせん)・天枢(てんすう)を追加
※冷えを伴う場合:灸施術を追加



 暮らしのアドバイス

規則正しい生活リズム
食事や睡眠を規則正しくすることで、ホルモンバランスの乱れを防ぎます。
睡眠不足に注意
夜中の2~3時にやっと就寝するという生活は要注意です。睡眠時間を確保していても、夢が多い場合は睡眠の質の低下を疑います。
生ものや冷たいものの摂りすぎに注意
生ものや冷たいものは身体を冷やして血流を悪くします。
ストレスをうまく発散する
ストレスコントロールすることで、ホルモンバランスが整いやすくなります。
補腎の食材をとること
黒豆や黒ゴマなどの黒いもの、ヒジキや昆布などの海藻類、松の実やくるみなどの実(み)がおすすめです。

 ◆関元(kangen)

別名丹田ともいい、生命活動の源ともいわれています。腹式呼吸でも意識する部分ですね。体力の回復や冷え性・便秘にも効果的です。
臍(ヘソ)の上に親指以外の4本を添えて、垂直に下りた所にあります。仰向けで中指を重ねてやさしく押しましょう。5~10秒ゆっくり押して離すを5セットやると効果的です。

 ◆子宮(shikyuu)

関元より指1本下の中極(チュウキョク)というツボより親指以外の4本外にあります。 丁度卵巣の上に位置します。

 ◆腎兪(jin-yu)

ウエストのくびれた部分に両手を持っていき、親指が筋肉の盛り上がりに触れたところです。背骨からは指2本分離れた場所でホルモンやエイジングケアで有名なツボです。

 ◆太衝(taishou)

足の親指と人差し指の骨の間を足の甲へ上がっていった行き止まりが太衝です。
気の巡りを良くし、ストレス緩和によく使うツボです。頭痛の治療にもよく使います。

 ◆陰陵泉(inryousen)

膝を曲げた状態で、足の内くるぶしから真上に辿っていくと指が止まるところです。

 ◆足三里(ashisanri)

膝を立てて、膝のお皿の下の部分にくぼみが2つあります。そのくぼみから指4本分下が足三里です。
足にあるツボですが長寿のツボ・万病に効くツボとして知られていて、胃腸の調子を整えるのにも効果的です!

 ◆合谷(goukoku)

頭痛や肩こり・風邪・風邪・花粉症など様々な症状に効果があるといわれています。
手の親指と人差し指の間にあり、やや人差し指寄りです。 親指で5~10秒ゆっくり押して離すを5セット行いましょう。リラックスしている時に行うとより効果的です☆

 ◆三陰交(saninkou)

内くるぶしから骨際に指4本分上のくぼみが三陰交です。とても万能なツボで、女性に特におすすめのツボです。
冷えが気になる方にも効果的です!

 ◆内関(naikan)

手首にあるツボで、親指を入れて他の指で握り(グーの形)手前に倒すと腱が2本浮き出てきます。 そのライン上で手首から指3本分のところにあります。 親指をツボにあてて他の4本で手首を掴み振ると効果的です。