更年期障害

のぼせ、ほてり、発汗異常、イライラ、めまい、耳鳴り…特に何をしたわけでもないのに、加齢と共にこのような症状を感じる方も多いのではないでしょうか。歳のせいだからと諦めず、生活の質を高める取り組みをしましょう。



 《更年期 自己チェック》

※3個以上あれば注意
□ 立ちくらみやめまいがある
□ 動悸や息切れがある
□ ホットフラッシュ(のぼせ・ほてり・発汗)があり寝汗をかく
□ 足腰がだるく力が入りづらい
□ 寒がりで手足の冷えがある
□ トイレが近く尿漏れや夜間尿がある
□ 食欲がなく便秘や下痢がある
□ 皮膚や粘膜の乾燥があり、痒みがある
□ すぐに人や物の名前が出て来ず、物忘れが目立つ
□ 不眠や不安感があり、鬱っぽくなることがある
□ 人の話を聞き返すことが増え、耳鳴りもある
□ 性欲の減退がある

更年期障害とは?

更年期とは、閉経前後の45歳から55歳くらいの期間をいいます。更年期になると、身体の衰えとともに卵巣機能も低下し、卵巣から分泌される女性ホルモン(エストロゲン※)が急激に減少します。エストロゲンの分泌が減少すると、これを増やそうと脳(視床下部や下垂体)がもっとエストロゲンを出すよう卵巣に対して指令を送ります。しかし、指令が来ても卵巣機能が低下しているため、エストロゲンの分泌ができません。そのため、脳(視床下部や下垂体)はさらに卵巣に指示を出そうと働き続け、パニック状態やオーバーワーク状態になります。これが自律神経系にも影響が及び、身体や精神面に様々な不調が現れ、日常生活に支障を来すようになるのです。

※エストロゲンとは、女性らしさを保つホルモンのことで、髪や肌の潤いを保ったり、骨の維持、コレステロール値の調整、受精卵の着床をサポートしています。


更年期障害の検査と治療

血液検査により、血中のホルモンの量を測ります。また、子宮・卵巣の超音波検査、骨量検査などを行います。治療は不足した女性ホルモンを補うホルモン補充療法(HRT)が行われ、不安やイライラなど精神症状が強い場合には、睡眠剤や安定剤の服用も組み合わせます。



中医学で考える更年期障害



中医学において、更年期の原因の多くは主に「腎(じん)」と深く関わっています。
腎とは、成長・発育・性機能・妊娠・出産・老化などと関係し、人間が生きていく上で必要な生命エネルギーである「腎精(じんせい)」を貯めておく臓腑です。例えば両親から受け継いだエネルギー(腎精)が少ない赤ちゃんは、立ったり、歩いたり、髪の毛が生えたり、言葉を話したりするのが遅れるなどの症状が現れます。
腎が衰えた状態を「腎虚(じんきょ)」といい、簡単に言えば「老化」のことを指します。



中医学では女性は7年周期、男性は8年周期で身体が変化すると考え、女性は35歳、男性は40歳あたりから衰えが出始めます。


「腎」の特徴には次のようなものがあります。
「腎は骨を主る」
腎は「骨余(こつよ・骨の余り)」といわれ、腎精が不足すると歯が抜けやすくなったり、骨がもろくなり骨粗鬆症の原因にもなります。
「腎は髄を生じる」
脳の別名は髄海(ずいかい)といい、髄が海のように満ち溢れている状態を表現しています。骨髄・脊髄・脳髄などの「髄」(辞書では物事の重要な部分・大事な部分という意味)は腎精から作られ、腎精が充実していれば脳は聡明でよく働きよく物事を考えることが出来ます。逆に腎精が不足すれば認知症や物忘れなどの症状が出てきます。
「腎は耳に開竅(かいきょう)する」
腎は耳と関係し腎虚により、耳鳴り・難聴などの症状が現れます。
「腎の華(はな)は髪」
臓腑の状態がよく反映される部位を華といいます。腎精が充実していれば髪は色艶がよく、黒々とし強くしなやかですが加齢に伴って腎精が衰えてくると、薄毛や白髪が見られるようになります。
「腎は二陰に開竅(かいきょう)する」
二陰とは前陰(尿道と生殖器)と後陰(肛門)のことで、腎の機能失調がここに反映され、おねしょ・頻尿・精力減退・大小便の異常などとして表れます。



更年期の鍼灸治療

ホルモン分泌を司る「腎精(じんせい)」の働きを高める補腎(ほじん)法と、血行循環をよくする活血(かっけつ)法を組み合わせます。また、更年期による様々な不調な症状の原因を追究し、一人一人の体質に合わせたツボを使うことにより、根本的な原因にアプローチして改善に導きます。



タイプ別鍼灸治療

肝腎陰虚(かんじんいんきょ)
身体に必要な陰血(体液や血)が不足して、相対的に熱が強くなっているタイプ。
のぼせ、ほてり、口の渇き、寝汗だけでなく、耳鳴り、難聴、立ちくらみ、めまい、眼精疲労、しびれや筋肉の痙攣などの症状が表れる。
おすすめのツボ:太衝(たいしょう)、腎兪(じんゆ)など。

腎陽虚(じんようきょ)
腎虚の中でも、特に身体を温める機能やエネルギーが衰えたタイプ。
足腰の冷え、寒がり、精力減退、むくみ、夜間尿、インポテンツなどの症状が表れる。
おすすめのツボ:太谿(たいけい)、関元(かんげん)など。

肝気鬱結(かんきうっけつ)
精神的ストレスにより、気の巡りが滞るタイプ。
自律神経や情緒のバランスが不安定となり、抑うつ状態、イライラ、ため息、不眠、不安感、胸の張り、ゲップ、咽喉の異物感などの症状が表れる。
おすすめのツボ:太衝(たいしょう)、内関(ないかん)など。



 暮らしのアドバイス

女性ホルモン(エストロゲン)と似た働きをする大豆イソフラボンを含む大豆食品を積極的にとる
腎を養う黒豆・黒ゴマ・ひじき・きくらげなどの黒いものやオクラ・山芋・納豆などの粘りのある食べものをとる
長時間座りっぱなしでは、30分に1度立ち上がって歩いたり屈伸運動をしましょう
適度に身体を動かしてストレスをうまく発散する
趣味など自分の楽しみの時間を持つ

 ◆太衝(taishou)

足の親指と人差し指の骨の間を足の甲へ上がっていった行き止まりが太衝です。
気の巡りを良くし、ストレス緩和によく使うツボです。頭痛の治療にもよく使います。

 ◆腎兪(jin-yu)

ウエストのくびれた部分に両手を持っていき、親指が筋肉の盛り上がりに触れたところです。背骨からは指2本分離れた場所でホルモンやエイジングケアで有名なツボです。

 ◆太谿(taikei)

腎経のツボでホルモンバランスと関わりがあります。
足の内くるぶしを見つけ、その点とアキレス腱の間にある凹みです。

 ◆関元(kangen)

別名丹田ともいい、生命活動の源ともいわれています。腹式呼吸でも意識する部分ですね。体力の回復や冷え性・便秘にも効果的です。
臍(ヘソ)の上に親指以外の4本を添えて、垂直に下りた所にあります。仰向けで中指を重ねてやさしく押しましょう。5~10秒ゆっくり押して離すを5セットやると効果的です。

 ◆内関(naikan)

手首にあるツボで、親指を入れて他の指で握り(グーの形)手前に倒すと腱が2本浮き出てきます。 そのライン上で手首から指3本分のところにあります。 親指をツボにあてて他の4本で手首を掴み振ると効果的です。