変形性膝関節痛

膝の痛みは、加齢に伴って生じやすくなり、その多くは「変形性膝関節症(OA)」です。50代以降の女性に多く、肥満とも関係しています。





変形性膝関節症とは?

年齢とともに膝関節(主に関節軟骨)が摩耗・減少することにより起こります。関節軟骨の退行性変化により、骨の増殖や周辺組織の炎症が起こり、結果として関節の変形が生じます。そのため、動作時の痛みや浮腫み、可動域の制限、膝の内反変形(O脚)が症状として現れます。明らかな原因疾患がなく、レントゲンやMRI画像で関節裂隙の狭小化や骨棘の形成などが認められたときに診断されます。膝の痛みでは、関節リウマチも女性に多くみられるため鑑別が必要です。



中医学で考える変形性膝関節症

中医学では、四肢関節に生じる痛みを「痹症(ひしょう)」と呼びます。「痹(ひ)」とは、“閉塞して通じない”という意味です。主に風・寒・湿・熱などの外邪(自然環境の変化)が経絡に侵入し、気血の運行を通じなくさせることで、痛みや重だるさ、可動域の制限、関節の腫れなどが起こります。痹症の原因は、外邪による経絡の閉塞ですが、外邪の侵入を許す身体の抵抗力の不足(正気不足)がベースにあります。中医学では、加齢や過労、大病などで身体の正気が不足したり、生活環境、気候条件、飲食なども関連して関節に痛みが生じると考えられています。

変形性膝関節症の鍼灸治療

鍼灸治療では、まず経絡気血の運行を促して痛みの除去をはかります。痛み方から外邪の性質を判断するとともに、痛みの部位から障害されている経絡を特定します。膝関節を巡る経絡では、後方の痛みは足太陽膀胱経が、外側の痛みは足少陽胆経が、内側の痛みは足太陰脾経や足厥陰肝経、足少陰腎経が関係しています。外邪を取り除き、それらの経絡を通じさせること(通経活絡止痛)が第一選択です。また、各経絡は臓腑と連絡しているため、内臓の異常でも膝の痛みは生じます。元々胃腸が弱い人が不摂生をしたり、アルコールを多飲したりすると、膝の内側に痛みが出ることがあります。経絡を通じて身体のサインを総合的に判断します。

膝関節痛で使う代表的なツボ:膝眼(しつがん)、梁丘(りょうきゅう)、陽陵泉(ようりょうせん)、膝関(しつかん)、曲泉(きょくせん)、委中(いちゅう)など。

タイプ別鍼灸治療

1.行痹(こうひ)
風邪(ふうじゃ)によるもの。関節や筋肉が痛く辛い、痛みがあちこち動き場所が特定できない、関節の屈伸障害、症状の初期には悪寒発熱を伴う など。
おすすめのツボ:膈兪(かくゆ)、血海(けっかい)など。

2.痛痹(つうひ)
寒邪によるもの。痛みは強く同じ場所が痛む、冷えによって憎悪、温めると楽になる など。
おすすめのツボ:腎兪(じんゆ)関元(かんげん)など。※灸を加える

3.着痹(ちゃくひ)
湿邪によるもの。同じ場所が痛む、重だるさを伴う、関節の腫脹、天候で痛みが左右する など。
おすすめのツボ:陰陵泉(いんりょうせん)足三里(あしさんり)など。

4.熱痹(ねっぴ)
熱邪によるもの。発赤、腫脹、発熱を伴い、冷やすと気持ちよい など。※灸は不可
おすすめのツボ:曲池(きょくち)合谷(ごうこく)など。

5.頑痹(がんひ)
加齢など肝腎不足によるもの。慢性化して関節の変形がある、屈伸障害、筋肉がやせ細る、腰膝の重だるさ、寒さが苦手で下肢が冷える など。
おすすめのツボ:腎兪(じんゆ)肝兪(かんゆ)など。



 ※暮らしのアドバイス

ウォーキングで大腿四頭筋の筋力を鍛えましょう
適切な体重を維持しましょう
睡眠を十分にとりましょう
脂っこいもの、味の濃いもの、甘いものの食べ過ぎや過度のアルコール摂取を控えましょう